2022-01-11 経済

中国の「債務の罠」にはまる途上国 デフォルト危機のスリランカは港を失う

© Reuters / TPG Images

国際的格付け機関がスリランカのデフォルト(債務不履行)危機を警告する中、同国のラージャパクサ大統領は10日、訪問中の中国の王毅外相と会談し、中国政府から受けている多額債務の返済猶予を申し入れた。スリランカ政府は「もし債務返済の繰り延べが可能になれば、大きな負担軽減になる」との大統領の談話を発表した。

 

英紙ガーディアンによると、2021年4月時点でスリランカにとって中国は最大の債権国で、対外債務350億ドル(約4兆円)のうち約10%を占める。しかも、国営企業や中央銀行への中国からの借入額を含めると、実際の債務は公表額を大きく上回るという。

 

これらの問題はスリランカがインフラ(社会基盤)整備のため、中国からの過剰融資を受けたことによるものだと同紙は指摘。例えば、08年から始まった同国南部のハンバントタ港建設プロジェクトの場合、スリランカ政府は中国から14億ドル(約1600億円)を借り入れたものの、完成した港の稼働率は低迷。返済できなくなった同政府は17年、同港湾施設の運営権を中国企業に99年間貸し出す契約をせざるを得なくなった。

 

実はこの港湾施設は、中国にとってインド洋におけるシーレーンの重要な位置にあり、中国政府が進める広域経済圏構想「一帯一路」の「真珠の首飾り戦略」の拠点の一つでもある。そのため、インドや米国が強い警戒感を示したことで、中国は同港を軍事利用しないとしてスリランカと合意している。

 

そんな「中国依存国」はスリランカだけではない。

 

同じインド洋に浮かぶ珊瑚島と環礁からなる島嶼(しょ)国・モルディブも中国からのインフラ整備や医療支援など、多角的な融資に依存している。「一帯一路」政策に基づく地政学的に重要な拠点作りが中国の狙いだとされる。

 

また、世界銀行が昨年10月に発表した「国際債務統計」によると、サハラ砂漠より南のアフリカ各国が中国から多額の融資を受けており、対中債務のほとんどがインフラ整備や鉱物資源の採掘のための融資だとしている。

 

世銀によると、途上国が抱える対中債務の総額は、20年末時点で1700億ドル(約20兆円)に上り、その45%がアフリカの国々によるもの。そのため、中国マネーに依存する国が、スリランカのように借金漬けに陥る「債務の罠(わな)」への懸念を抱えている。実際、ザンビアは20年にアフリカ初のデフォルトとなり、昨年6月時点で同国政府と国営企業の対中債務は60億ドル(約6900億円)を超えていた。

 

一方、中国は「一帯一路」政策をさらに推し進めるため、年始早々に王毅外相をアフリカ東部のエリトリアとケニア、インド洋のコモロに派遣。8日にはモルディブからスリランカ入りし、ラージャパクサ大統領と会談した。同外相はスリランカから帰国し、今年最初の外遊を終える。