注目ポイント
インテルの パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)CEOは、主要顧客であるアップルからの注文を取り戻すことを表明。アップルのファウンドリとなる可能性も示唆している。業界関係者の間では、ファウンドリのリーダーであるTSMCとその主要な顧客を奪い合うことになるのではないかと指摘されており、アップルが台湾ラーガン社 (Largan Precision)のケースと同様にTSMCに打撃を与えるのではないかとも懸念されている。
また劉氏は、インテルが各地にファブを設立してもTSMCに与える影響はわずかだとも分析している。そして将来的な観測指標は、インテルのファウンドリ事業の歩留まりと、高度な製造プロセスの壁を打ち破ることができるかどうかであると語っている。同氏いわく、TSMCのもう1つの大きなアドバンテージは、成熟した製造プロセスと高度製造プロセスの生産能力の割り当てが大変よく練り上げられており、インテルがこれを追い抜くのは容易ではないとのことだ。
TSMCの危機:アップルの一貫した、サポート&切り捨て戦略
「以前はあり得ないと思っていましたが、今は少し心配しています」。本サイトの取材によると、新竹サイエンスパークにある半導体パッケージング業界関係者は、TSMCは依然として最先端のファウンドリであるものの、TSMCがウェハの製造価格を上昇させ続けることをアップルがいつまでも放ってはおかないだろうと懸念している。
その関係者は、台湾ラーガン社を例にとり、世界一の技術を持つ企業がなぜ株価6,000元(6,075元)の高値から現在2,000元割れまで落ち込んでいるのか、第3四半期の財務報告書では単期の粗利率が60%も割り込んでいる。直近5年間でも最低値となり、これは大きな危機だと語っている。
台湾ラーガン社の株価が思わしくないことから、「無口な男」として知られるラーガン社の林平恩CEOが、機関投資家向けの説明会での発言を余儀なくされた。まず林CEOは、ラーガンがかつて世界トップのプラスチックレンズ技術で、アップルやファーウェイなどの主要メーカーを顧客としていたことを語った。
さらに次のように続けた。4年前までアップルは、単一のサプライチェーンが独自に拡大するのを防ぐために、2年連続で当社のレンズのアップグレードを遅らせ、その間に第2のレンズサプライヤーを育てながら時間と成長をコントロールし、他のレンズメーカーの技術が早くラーガンに追いつくようにした。
海通証券電子研究主管の蒲得宇氏は、2019年、アップルは奥の手を使ったと述べた。それは「光学設計を自社で行う」というものであり、さらにはラーガンからレンズの設計権を取り戻し、レンズの仕様レベルの向上を遅らせ続けたとのこと。業界関係者はこのことについて、TSMCは危機意識をもって、アップルの心変わりに備えなければならないと話している。
劉佩真氏は、アップルCEOのティム・クック氏(Tim Cook)を観察していると、アップルの戦略には一貫したパターンがあることを発見したと話した。それは会社が1つのサプライチェーンだけに依存することを許さないことだ。ただし、ここ数年TSMCには何の影響も与えてはいない。高度な技術で競争できるメーカーがいないからであるとしている。