そんな中、上海当局は9日、今後14日間新規感染者がゼロになった地区の住民に外出を認める方針を明らかにした。市当局によると、9日までの過去7日間で感染者が出なかった地区の住民は、それ以降7日間の健康観察期間に移行し、制限が緩和されることで自宅敷地内での移動が認められる。
だが、感染者が出た地区の住民は、引き続き自宅での待機を命じられる。今後も当面、全市民のウイルス検査は継続するとしている。当然、全面解除のめどは立っていない。国営新華社通信は10日、オミクロン株が持病のある人や高齢者などにもたらすリスクを踏まえると、中国の「ゼロコロナ」政策を緩和すれば悲惨な状況になるとの見方を示した。
パンデミックが始まった2020年半ばから、世界はすでに「ウィズコロナ」に舵を切り、新しい生活様式を模索する中、習近平主席が主導する中国政府は独自の「ゼロコロナ政策」に固執。感染者が発生する度、その町全体の封鎖を繰り返してきた。強権発動により「ゼロコロナ」政策は、重症化リスクは高いが感染力が比較的弱いデルタ株が主流だった昨年後半までは機能していたとみられる。
ところが、感染力が非常に高いオミクロン株の出現により「ゼロコロナ」はすでに「大失敗だ」との声が中国国内でもささやかれている。〝中国経済の首都〟上海でこのままロックダウンが続き、住民からの反発や多大な経済損失が生じた場合、習政権の命取りにもなりかねない状況になっている。
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