2022-04-11 経済

不満と疑念渦巻くロックダウンの中国・上海 市民2600万人の食料底つき生命の危険も

© Photo Credit: Reuters / 達志影像

新型コロナウイルスの感染拡大により、10日間で終わるはずだった中国最大の都市・上海での緊急ロックダウン(都市閉鎖)は先月28日の開始からすでに2週間が経過。当局による厳格な命令により、一切の外出を禁じられた市民2600万人の多くにとって、食料やクスリなど生活必需品が底をつき、生命の危機さえ迫っている。

「食べ物をくれ!飢え死にしてしまう!」と集合住宅のベランダから男性の叫ぶ声が敷地内に鳴り響いた。それぞれの団地の出入口はチェーンで閉鎖され、物理的にも住民は外出できない。そんな様子を伝えるニュース映像は世界中で報じられ、事態の深刻さを示した。市当局による食料配布はあるものの、配達員不足から行き届いていないのが現実だ。

英紙ガーディアンによると、中国のSNS・微博(ウェイボー)には、食料不足や当局による見切り発車のロックダウンを批判し、救済を求める上海市民の投稿であふれているという。

あるユーザーは、「どこに住んでいようが、カネがあろうとなかろうと、あとどれだけ食べ物が残っているか、これからどうやって食品を手に入れるかを心配しないといけない」と訴え、別のユーザーは、「宝山(上海市内の地区)の住民に餓死してほしいのか」と怒りをあらわにした。

同様の不満は外部から上海に派遣されてきた医療従事者やボランティアからも漏れている。ある女性は、「食料の配給は地元住民だけのものなのか。外部から来てボランティアをしているが、われわれにはないのか」と悲痛な訴えを中国の動画アプリ・抖音(ドウイン)に投稿した。

一方、いくつかのスーパーマーケットの外には長い列ができ、駐車場には多くの車が止まっているニュース映像も伝えられた。現地からの報道によると、医療従事者や配送業者に発行される特別許可証や、その偽物がインターネットを通じて1枚1000元(約2万円)ほどで違法に転売されているというのだ。警察当局はこのような不法取引の取締りを強化している。

上海当局がロックダウンに踏み切った当初は、同市の中央を流れる黄浦江(こうほこう)を境に東西2つの地区に分け、日にちをずらして5日間づつ、それぞれの全住民にPCR検査を実施し、陽性者を臨時隔離施設に収容している。

ガーディアン紙によると、ロックダウン開始以降も陽性者は増加し続けており、10日は新規感染者が2万5000人に迫り、10日連続で過去最高を記録した。それでも、約95%は無症状だという。

そんな中、上海当局は9日、今後14日間新規感染者がゼロになった地区の住民に外出を認める方針を明らかにした。市当局によると、9日までの過去7日間で感染者が出なかった地区の住民は、それ以降7日間の健康観察期間に移行し、制限が緩和されることで自宅敷地内での移動が認められる。

だが、感染者が出た地区の住民は、引き続き自宅での待機を命じられる。今後も当面、全市民のウイルス検査は継続するとしている。当然、全面解除のめどは立っていない。国営新華社通信は10日、オミクロン株が持病のある人や高齢者などにもたらすリスクを踏まえると、中国の「ゼロコロナ」政策を緩和すれば悲惨な状況になるとの見方を示した。

パンデミックが始まった2020年半ばから、世界はすでに「ウィズコロナ」に舵を切り、新しい生活様式を模索する中、習近平主席が主導する中国政府は独自の「ゼロコロナ政策」に固執。感染者が発生する度、その町全体の封鎖を繰り返してきた。強権発動により「ゼロコロナ」政策は、重症化リスクは高いが感染力が比較的弱いデルタ株が主流だった昨年後半までは機能していたとみられる。

ところが、感染力が非常に高いオミクロン株の出現により「ゼロコロナ」はすでに「大失敗だ」との声が中国国内でもささやかれている。〝中国経済の首都〟上海でこのままロックダウンが続き、住民からの反発や多大な経済損失が生じた場合、習政権の命取りにもなりかねない状況になっている。

 

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