2022-04-09 経済

ロシアが否定するブチャの民間人大量虐殺 独情報機関が殺戮話す露軍の無線を傍受か

© Reuters / 達志影像 Bucha, outside Kyiv

ウクライナの首都キーウを包囲していたロシア軍撤退後、同市近郊ブチャで300人以上の市民が虐殺されたとする問題について、国連総会は日本時間8日未明、ロシアを人権理事会の理事国から追放する決議を採択。一方、プーチン露大統領は「下品でシニカルな挑発行為だ」と主張し、西側の主張を否定した。

これは今週、ハンガリーのオルバン首相との電話会談で語ったもので、ブチャ虐殺が発覚して以来、プーチン氏の発言が伝えられたのは初めてとなった。

また、ブチャ同様、ロシア軍が去った後にキーウ近郊ボロディアンカでも多くの民間人犠牲者の遺体が発見され、東南部で孤立しているマリウポリなどほかの町でもロシア軍による残虐行為が行われた可能性が高いと西側はみている。

米国のブリンケン国務長官は5日、「ブチャで起きたことは、単なるならず者部隊による任意の行為ではない。殺戮し、虐待し、レイプし、残虐行為を犯すための周到な作戦だった」とした上で、「報道は信ぴょう性以上のものであり、証拠が世界に示されている」と語った。

それでもロシア側は、西側の報道を全面否定している。ラブロフ外相は「欧米諸国によるフェイクニュースだ」と言い放った。また、ウクライナのゼレンスキー大統領が5日、国連安全保障理事会の緊急会合でオンライン演説し、ブチャを訪れて確認したその惨状を、「第2次世界大戦以来、最もひどい戦争犯罪」と表現し、ロシアを糾弾した。

ゼレンスキー氏の演説後、ロシアのネベンジャ国連大使は、「ロシアの兵士と軍に対する膨大な量の嘘だ」と反発。だが、米CBSの記者の質問に英語で答えた同大使は、「ロシア軍が去った時にブチャには犠牲者の遺体はなかった」と主張するはずが、間違って「ロシア軍が来る前に遺体はなかった」と発言。すぐに訂正したが、明らかに動揺していたと英紙インディペンデントが伝えた。

そんな中、ドイツの有力誌「シュピーゲル」は7日、独情報機関がブチャで虐殺を行ったとみられるロシア部隊が殺害について話している無線会話を傍受したと報じた。独連邦情報局(BND)は6日の連邦議会で報告したという。

同誌によると、傍受した会話はロシア兵士が捕虜にしたウクライナ兵士や民間人を取り調べた後に銃殺した様子や、別のロシア兵士が自転車に乗った民間人を狙撃して殺害した具体的な会話などが含まれている。その内容は出回っている自転車の横に横たわる男性の遺体を撮った報道写真と合致する内容だったとしている。

さらに、会話の内容から、シリア内戦などでも活動したとされるロシアの民間軍事会社「ワグネル」の傭兵が殺害に関与していたことも示唆されているという。ワグネルはプーチン氏の指示で動くエリート武装集団とされる。

ブチャなどで「非人道的行為を受けた」という市民の証言が相次いでいる中、同誌は「虐殺はでっち上げ」とするロシアの主張を無効にする証拠だとしている。

一方、ブチャ虐殺を受け国連総会は日本時間8日未明、ウクライナで「重大かつ組織的な人権侵害」を行ったとして、ロシアを国連人権理事会理事国から追放するため、資格を停止する決議を採択した。採択後、ロシアは同理事会から離脱する意向を表明し、自ら復帰の道を絶った。

採決の結果は賛成93か国、反対24か国、棄権58か国、無投票18か国。米国が主導した決議には日本を含む50か国以上が共同提案国に名を連ね、中国は反対票を投じた。採択には棄権と無投票を除く3分の2以上の賛成が必要だった。国連人権理事会で資格をはく奪されたのは2011年のリビアに次いで2例目。

 

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