注目ポイント
去年11月8日に南アフリカで感染力が強いと懸念される新種の変異株が発見された。同月26日にその変異株は「オミクロン株」と命名された。その直後の同月30日、日本で初のオミクロン株感染者が確認された 。 そしてその直後にこの調査が行われたため、コロナ収束を期待していた人たちは再び不安感が増し、経済活動を引き続き自粛する人と、政府の水際対策を高く評価し 、楽観視する人に分かれた。 最近数か月、コロナの新規感染者数が全国的に激減してきたが、国民の不安が再燃しそうである。その一方で楽観的な人は、この調査の前後でオミクロン株に感染した8人にうち8人全員が無症状 だったことから、経済活動を再開する準備を始めた人も多い。
日本国民の現況に対する実感
日本の状況が悪化しているか好転しているか調査したところ、オミクロン株の出現によって、感染再拡大の不安が表れた結果となった。過去1年の状況調査では、悪化していると答えた人は11月調査の49%から12月調査の46%に減っていると同時に、好転していると答えた人も9%から8%に減っている。今後一年間の展望については、9月から増え続けてきた「好転」を予測する人は今回一転して18%から11%まで7ポイントも減少した。「悪化」を予想する人も同様に9月から減り続けてきたが、11月が33%、12月が39%になり、6ポイント増加した。楽観視する人が減ったことがわかる。

今後1か月の支出予算の変化
今回の調査のちょうど一か月前、一日当たりの新規感染者数が東京都では9人、全国でも84人 にまで激減した。コロナ禍収束かとの期待も膨らんだが、世界的に見るとまだまだ収束というには程遠い状況で、日本人は手放しでは喜べないまま、年末年始の大型イベントや帰省、旅行で一気に消費しようと目を見据えて慎重に様子をうかがっていたところ、オミクロン株が日本に出現した。水を差された形になったが、調査の結果を見ると、今後一ヵ月の消費支出予想はそれほど大きく落ち込んではおらず、減少想定の最多は40~49歳代の44%、最少は16~29歳代の33%となっており、全体では6割もの人が、支出予算が減少も増加もしない現状維持を想定している。不安と静観が入り混じっているのが顕著にうかがえる。

消費財の予算変化を年代別に見ると、予算減少を想定しているのは16~29歳代が最少で20.5%、最多は40~49歳代の29.1%である。反対に今後一ヵ月の消費予算が増加することを想定しているのは、それぞれの世代で減少想定の約半数となっている。消費予算増加の想定が最多なのは40~49歳代の15.4%、最少は16~29歳代の11.2%である。

消費財の予算変化を商品カテゴリー別に見ると、全てのカテゴリーで6割から7割の人が現状維持を想定しているが。消費予算が変化すると答えた人は、外食・娯楽のカテゴリーの30歳未満以外、全世代、全カテゴリーで削減想定が増加想定を上回った。30歳未満の外食・娯楽に対する消費予想は、増加が17%、減少が14%で、唯一消費意欲の向上が見られる。しかし、50~60歳代は減少予想が31%と最も多く、30~39歳代と40~49歳代でも、それぞれ22.7%、22.3%で、増加予想の15%、18%を上回っている。