2022-01-06 経済

“悪夢のシナリオ”を専門家が懸念 軽症状オミクロンの次に出現する感染力も毒性も強い変異株

© Reuters / TPG Images

新型コロナウイルスのオミクロン株による急激な感染拡大が、欧米を中心に世界各地で報告される中、死亡率が上がっていないことから、多くの専門家は同株の感染力が際立って高い割には、これまでの変異株より重症化し難いという見解で一致している。だが、これは「幸運だっただけ」と米リベラル系ニュースサイト「デーリー・ビースト」は伝えた。その意味とは―。

 

米ジョンズ・ホプキンス大の統計によると、今年に入り最初の5日間で確認された新型コロナウイルスの新規感染者は、世界で1000万人を超えた。これはコロナ禍が始まって以来最悪となった昨年5月の1週間で410万人という記録の2倍以上。

 

ところが、死者数は新規感染者数の増加に比例しておらず、今年最初の5日間でデルタ株を含む新型コロナ感染により死亡した人は世界で4万3000人。これは昨年5月の1週間で8万4000人の約半数だ。

 

これについてWHO(世界保健機関)は4日、「オミクロン株の症状は、これまでの変異株に比べて重症化リスクは低い」とし、重い肺炎を引き起こす他の変異株と違い、症状は鼻や喉などの上気道に集中しているためだとの見解を示した。

 

オミクロン株の症状が「軽い」とは朗報だが、多くの専門家は次々に出現する変異株が、より深刻なものになる可能性を指摘。瞬く間に広がったオミクロン株の強烈な感染力と、重症化をもたらすデルタ株のような強毒性を併せ持った新種株に変異するという “悪夢のようなシナリオ”を懸念しているのだ。

 

米サウスフロリダ大学・国際医療伝染病研究センターの疫学研究者エドウィン・マイケル氏は、デーリー・ビーストに「ウイルスの突然変異に関しては、極端なことが無視できない割合または確率で発生し、深刻な結果につながる可能性がある」と解説する。

 

実際、フランスでは今週、新たな変異株が確認された。同国・南部マルセイユ郊外フォルカルキエで、少なくとも12人が新種の変異株に感染していたことが判明した。

 

この変異型「B.1.640.2」はマルセイユにある大学病院研究所が先月上旬に発見し、研究結果を報告していた。それによると、この株は46の変異を持っており、50の変異があるオミクロンに近い。また、遺伝子配列はアフリカのコンゴ共和国で見つかった変異型にも似ているという。感染力や毒性についてはまだ分かっておらず、今のところWHOもフランス政府も静観している。

 

次々に変異を繰り返して出現する新型コロナウイルスに対抗する有効な手段は、イスラエルで始まったようなメッセンジャーRNAワクチンの4回目接種だとサウスフロリダ大のマイケル氏はいう。

 

イスラエルは3日から60歳以上を対象に4回目接種を開始。事前に実施した研究結果からは、4回目接種後に1週間で抗体がおよそ5倍に増加することが分かったと同国政府が発表した。その有効性が期待されているが、2回のワクチン接種さえ進んでいない国が多いだけに、今年もコロナ禍の出口は見えず、まだまだ不透明だ。

 

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