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数字上では、台湾の1人当たりGDPは韓国や日本に追いつこうとしているが、労働者にとって、その恩恵は微々たるものである。なぜなら台湾の基本給は現在、日本や韓国の半分程度であり、労働者が経済成長の恩恵を受けていないことは明らかである。
1人当たりGDPは2028年には日本を上回り、韓国に次ぐ2位になると予想されているが、台湾の労働者にとってはまだ意味のないことである。
日本経済研究センターが先月発表した予測によると、台湾の1人当たりGDPは2028年までに47,305米ドルに達し、日本の46,443米ドルを上回るといい、一方の韓国の1人当たりのGDPは2027年には46,519米ドルに達すると予測されている。

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しかし、台湾の労働者は1人当たりのGDPが日本や韓国並みになったとしても、その恩恵を受けることはできないだろう。
今年、韓国と日本の基本給はそれぞれ46,718元(1,914,440ウォン)、41,128元(161,643円)に上昇したが、台湾の基本給はまだ25,250元で、韓国と日本の基本給のそれぞれ54%、61%に過ぎない。過去6年間の基本給の年間増加率で計算すると、2028年には韓国は70,969元、日本は49,932元まで増加するが、台湾は31,865元までしか増加しないと試算されている。
つまり、台湾のGDPは日本を超え、韓国と同等になるが、それでも台湾の基本給は韓国の半分以下(45%)、日本の3分の2(66%)に過ぎない。その結果、台湾の1人当たりのGDPは、台湾の労働者にとってほとんど意味を持たず、その賃金は近隣諸国と比較して、依然として非常に少ないのである。

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2020年の給与の中央値を比較すると、日本では88,210元、韓国では70,153元、台湾では41,500元となる見込み。 台湾の給与の中央値は、日本(47%)、韓国(60%)のおよそ半分に過ぎない。
過去8年間の年収増加率でみると、日本と韓国の給与の中央値は2028年までに9万元以上に増加し、それぞれ9万1496元、9万477元に達する見込みだ。しかし、台湾の給与の中央値は47,323元への増加にとどまり、日韓の半分に過ぎない。

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仮に台湾の基本給を日本や韓国の基本給や生活費に当てはめた場合でも、台湾の基本給は現在31,064元で、韓国に当てはめても37,784元になる。
台湾の基本給の過去6年間の上昇率から、日本や韓国と同じように計算すると、2028年には台湾の基本給は41,039元、52,772元まで上昇することになる。しかし、現在の台湾の基本給では、31,865元までしか増加しない見通しだ。

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これらの国の基本給を1人当たりGDPと比較すると、韓国の基本給は1人当たりGDPの15.3%から2020年には60.7%に上昇していることが分かる。日本でも、1988年に30.4%だった基本給が、2020年には44.6%まで上昇している。だが台湾では、基本給が1人当たりGDPの45.4%から34.0%へと逆に下がっている。