2021-11-30 経済

世界の二酸化炭素排出量が記録的数値になる危険性 原発支持者の巻き返しが始まる?

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注目ポイント

国連の最新の報告によると、2021年、世界の温室効果ガス濃度は史上最高を記録し、2023年には、二酸化炭素排出量が記録的な高い数値を示す可能性も指摘されている。これにより、核エネルギーが今後の新たな議論の焦点になり得るともささやかれている。台湾ではこのほど核四公投(第四原子力発電所をめぐる公民投票)により、核エネルギー論争が巻き起こっている。

気候危機が核エネルギーに新たなチャンスをもたらす? 

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)期間、「排出量ネットゼロ」の目標達成期限が目前に迫り、核エネルギー支持者が今回の会議で巻き返しを図っている。国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシ(Rafael Mariano Grossi)長官は「風向きは変わっており、地球温暖化を論じるには核エネルギーはもう避けては通れない」としている。しかし、台湾の行政院原子能委員会は、地質的条件から見ると、台湾は核エネルギーの発展には適していないとしている。

 

チェルノブイリ原子力発電所事故から福島第一原子力発電所事故まで、核エネルギーには原子力安全、放射性廃棄物問題がついて回り、長い間、核エネルギーは国連気候変動枠組条約締約国会議で避けられていた。だが、海外メディアによると、原子力発電支持者がCOP26で巻き返しを図っており、これまでの歓迎されない状況に変化が起きているという。

 

IAEAのグロッシ長官は『フランス通信社』に、今回のCOP26で、核エネルギーは初めてテーブルの1席を占めたと語った。彼はさらに、核エネルギーは世界クリーン(排出ゼロ)エネルギーの4分の1を占め、地球温暖化問題の一部を解決する上で、それを回避することはできないとも語っている。

 

アルゼンチン出身のグロッシ長官は、2年前にIAEA長官に就任してから、ずっと核エネルギー産業を提唱している。彼は2019年に、スペイン・マドリードで行われたCOP25で、各エネルギーは普遍的に歓迎されなかったが、スコットランド・グラスゴーで行われたCOP26では、「核エネルギーは歓迎されただけでなく、多くの関心を集めたと感じた」と語った。

 

グロッシ長官は、核エネルギー技術は化石燃料からの移行を加速できるだけでなく、気候の影響に適応する技術開発を促進すると考えている。彼は核エネルギー技術のマイナスの影響は、ほかのエネルギーより少なく、再生可能エネルギーも補うことができるとして、以下のように述べた。「核エネルギー(原子力発電)は常に継続でき、止まることはない」。

 

とはいえ、多くの人が今十分な原子力発電所を建設しても、地球温暖化を食い止めるにはもう遅いと考えている。それでもグロッシ長官は、一つの答えは現有する原子力発電所の正常な運行を維持することにあるとしている。

 

そんなグロッシ長官も認めざるを得ないのは、核エネルギーは深刻なリスクをもたらす可能性があり、また核エネルギー産業がまだ放射性廃棄物の処理方法を見つけられていないということだ。放射性廃棄物は数千年もの間、高い放射性を有する。

 

原子力発電に対する各国の意識の差は大きい。ニュージーランドとドイツは核エネルギーに反対しているが、インドはフランスの原子力発電大手EDF(フランス電力)と世界最大の原子力発電所の建設について議論を進めている。またカナダ、アメリカ、ロシアは小型モジュール炉(SMRs)を開発中である。

 

台湾に「核」は適していない?

台湾第四原子力発電所再稼働をめぐる公民投票が年末に行われるにあたり、第四原発、核エネルギーも再び台湾国内の議論の焦点となっている。

 

最近では北部地区の台北市、新北市、基隆市、桃園市、宜蘭県などのトップが、そろって原子力の安全性を問題視した発言をしている。台北の柯文哲市長は再稼働反対を表明し、国民党所属の林姿妙宜蘭県長も「(第四原発)は安全ではなく、商業化はしない。宜蘭県民の健康のため、我々は第四原発に反対する」と述べている。

 

台湾電力は、第四原発を再稼働するなら調査機関に、新たに地質的な根拠を組み入れた調査を要求し、その結果に基づき発電所の構造と設備の耐震要件を評価しなければならないとしている。様々な不確定要素が重なり、そのスケジュールの推定と把握は難しい。


原文作者: Abby Huang
原文責任編集者 / 校閲者: 翁世航
翻訳者: TNL JP編集部
校閱者: TNL JP編集部