2022-04-11 ライフ

【こころの健康について考える】(中) 高校教科書に精神疾患の記述が40年ぶりに復活

ただ、高校の現場では扱い方が難しいという声があるようだ。都立井草高校の伊藤邦貴(いとう・くにたか)教諭はいう。「今までは“心の健康”という扱いで、生活の質を上げていくということで取り上げられていた。(具体的に精神疾患に触れるとなると)プライベートなこともあるので、入り込みすぎると、触れてほしくない生徒もいるだろう」

まだ具体的に教えていない段階だが、「ストレスという項目があるので、その延長線」での指導ということになるのだろうかと思う、と伊藤教諭はいう。

ある都内の私立高校の教諭は「今まではうつ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)といったものがあるよという程度だった。これからは(具体的な精神疾患を教えるとなると)生徒たち自身にも関わる問題であり、伝え方など気にしていかなければならない」という。

精神病患者の家族組織である全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)の小幡恭弘(おばた・やすひろ)事務局長はいう。「日本は風土的に、精神病患者は何をするかわからないといった偏見がある。スティグマ(ネガティブな印象)がある。孤立していくことが一番怖い」

「精神病は思春期に発症する。そこで正しい知識を持っていなければいけない。そういう意味では、高校の教科書に精神病の記述が再び入るのはひとつの“取っ掛かり”になる。これを義務教育にまで下げていくことが必要だ」と小幡氏は語る。「早い段階で、重層的に年齢を重ねながら、理解していくことが大切だ」

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