2022-04-06 経済

韓国・国防相発言に金正恩氏の妹が猛反発 先制攻撃するなら「核兵器で報復」と威嚇

© Photo Credit: Reuters / 達志影像

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が、同国の核兵器保有を繰り返しアピールして韓国を威嚇。同時に最高権力者の〝ナンバー2〟としての存在感を改めて示した。

与正氏は、韓国が軍事的対決を選択するなら、「われわれの核戦闘武力は任務を遂行せざるをえない」と核兵器使用に言及する談話を発表したと北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)が5日報じた。これは韓国の徐旭(ソ・ウク)国防部長官が1日に北朝鮮への先制攻撃能力に触れたことについて反撃したものだ。

徐長官は韓国軍のミサイル戦略司令部の改編式で、「軍は射程や正確さ、威力を大幅に向上させた大量で多種のミサイルを保有し、北朝鮮のどんな標的も正確に迅速に打撃できる能力を備えている」と発言。「(北朝鮮による)ミサイル発射の兆候が明確な場合、発射地点と指揮支援施設を精密打撃できる能力があり、その態勢もとっている」とし、先制攻撃に言及したのだ。

与正氏はこの発言に反応し、3日にKCNAを通じて談話を発表。その中で徐氏を「狂人」「クズ」などと罵倒し、自らの国を「核保有国」と強調した上で、南北関係と朝鮮半島の軍事的緊張を悪化させたとして、「妄言のせいで深刻な脅威に直面しうる」と警告していた。

AP通信によると、韓国はこれまでも北のミサイルや核兵器の脅威に対し、先制攻撃論を展開しており、徐長官の発言が目新しいものではなかったと指摘。ただ、北への融和路線を取ってきた文在寅政権の国防相が、先制攻撃に言及したのは異例中の異例だという。

5日に発表された2回目の談話で与正氏は、韓国が主要敵国ではないとしながらも、もし先制攻撃のような軍事行動を取れば、「状況は変わり、韓国自体が標的になる」と明言。「韓国軍が北朝鮮の領土にわずかにでも侵入すれば、想像を絶する大惨事に直面することになる」とし、「韓国は壊滅、全滅に近い悲惨な運命になる」と再び警告した。その上で、「核保有国を相手にした軍事的妄想を慎むべきだ」と韓国を非難した。

与正氏が公式談話を発表したのは約半年ぶりで、今回の談話は兄・正恩氏の意向に沿ったものだとしている。与正氏は昨年9月、韓国がお互いの立場を尊重するなら、南北首脳会談を前向きに検討するとの考えを示す談話を2日連続で発表した。その後、動静不明となり、韓国の情報筋は「新型コロナウイルスに感染し、重篤化した」「政治的失敗を犯し失脚した」などの可能性がささやかれていた。

そんな中、韓国紙・朝鮮日報は昨年12月、韓国国家安保戦略研究院のユ・ソンオク元院長の話として、「与正氏は神秘主義的な戦略により、(消息不明になることで)外部からの関心を高め、突然登場し存在感を示す可能性がある」と伝えていた。まさに、その通りの演出となったようだ。

一方、今回の談話の目的は来週末に予定されている米韓合同軍事演習へのけん制だとする見方がある中、ロイター通信によると、北朝鮮の動向を分析している米シンクタンク「38ノース」のアナリスト、レイチェル・ミンヨン・リー氏は、北朝鮮の脅威に対して強硬姿勢を示す尹錫悦(ユン・ソギョル)次期大統領に向けた揺さぶりとの見解を示した。

リー氏はまた、「数か月前に尹氏の先制攻撃発言が報じられており、北朝鮮は徐氏の発言を受けて次期政権にくぎを刺している。これまで控えてきた尹氏批判の基礎固めをしているようだ」と述べた。

 

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