2021-12-28 経済

今年もコロナ禍に明け暮れた1年「中国vs自由主義」の構図鮮明に

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注目ポイント

今年も残りあとわずか。新型コロナウイルスによる出口の見えないパンデミックで生じた国家間の“ワクチン格差”や、対立を深める覇権主義国家・中国と自由主義社会、史上初の無観客開催となった東京五輪など、The News Lensは2021年を象徴した日本を取り巻く世界の動向を検証する。


デルタからオミクロンへ

 

中国・武漢で新型コロナウイルスによる初めての感染が確認されて2年。瞬く間に世界中に拡大したパンデミックは現在、感染者約2億8000万人、死者540万人にも上る。これまで使用されたワクチンは89億5000万本。

 

だが、接種率は国家間の貧富の差により大きく異なっている。日本を含む先進国などは早い段階からワクチンを入手し、2回の接種率もほぼ6割を超えているものの、アフリカ諸国など途上国は3割にも満たないところが多い。さらに先進国などでは3回目の接種も始まり、格差は広がる一方だ。

 

世界保健機関(WHO)は、オミクロン株など変異種は免疫力の弱い人の体内から生まれやすいため、ワクチン接種が十分ではない開発途上国で出現することが多いとしている。その結果、ワクチン不均衡が新たな変異種を生み、コロナ禍の終息を遅らせると警告する。

 

それを示すように、感染力が強いとされるオミクロン株は急拡大。欧米各国の都市部ではデルタ株からオミクロン株への置換が進み、ロンドンでは8割の新規感染者がオミクロン株、ニューヨークでも7割超となるなど、すでに主流となっている。また、感染者数も欧米各国では過去最多を更新し続けている。

 

緊迫する中国vs自由主義

 

その新型コロナウイルスによる感染が判明した初期段階で、中国政府が情報を隠匿したことが世界的なパンデミックにつながったとして、米国のトランプ共和党政権の対中強硬姿勢は決定的となった。そして、今年1月に誕生したバイデン民主党政権も対中政策は軟化することはなかった。それどころか、新政権は中国政府による新疆ウイグル自治区やチベット自治区での少数民族弾圧など、人権問題を深刻にとらえ、米国主導で自由主義陣営の連携を強化。中国との対抗姿勢を明確にした。

 

その一つが米国、英国、オーストラリアの3か国で9月に構築したAUKUS(オーカス)という軍事技術を共有する安全保障上の枠組みだ。インド太平洋地域において中国が影響力と軍事的存在感を増していることへの牽(けん)制が狙いだ。

 

さらに、当時の安倍首相が提唱した「クアッド」と略される日本、米国、オーストラリア、インドの4か国による戦略対話も対中包囲網の一環だ。こちらも9月、クアッド会議を毎年開催することで合意した。

 

一方、中国は海洋進出で存在を誇示し、周辺国への挑発を続けている。南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する中国は、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾との対立を強めている。3月には南沙諸島でフィリピンが実効支配する島の軍事拠点化計画を進めていると、220隻以上の「海上民兵」とみられる中国船団が現われ、ほぼ1か月間、威嚇するように近くの海域に留まった。

 

また、東シナ海をめぐっても日本の尖閣諸島の領有権を主張し、こちらでも時に中国漁船が群を成して接続水域を航行したり、中国海警局の船が領海に侵入するなどの挑発行動を続けている。

 

“バブル方式”のオリンピック・パラリンピック

 

コロナ禍に終わりが見えない7月、反対意見も少なくない中、日本は五輪史上初の延期となっていた1年遅れの「2020東京五輪」の開催に踏み切った。大会は前代未聞の原則無観客で行われ、究極の感染対策として “バブル方式”が採用された。

 

この方式は「開催地を大きな泡で包むように囲い、選手やコーチ・関係者を隔離。外部の人達と接触を遮断する」というもの。入国前のPCR検査はもちろん、大会期間中にも定期的に検査を実施。さらに、移動や行動の制限も厳しく、「ホテルと練習会場・会場以外には原則移動できない」ようにした。

 

閉幕後、当時の菅首相は東京五輪を振り返り、「開催国としての責任を果たして無事に終えることができた」とし、「感染対策について海外からは『厳しすぎる』という声もあったが、『日本だからできた』と評価する声も聞かれている」と明かした。

 

この大会で日本は米国、中国に続いて過去最高の27個の金メダルを獲得。メダル合計も58個で過去最多となった。特にスケートボードやサーフィンなど新競技で日本の若年層がメダルを獲得する一方、“お家芸”の柔道や野球、ソフトボールでも金メダルを量産した。また、卓球の混合ダブルス決勝では水谷・伊藤ペアが日本の卓球史上初めて中国ペアを破り金メダルに輝いた。

 

そして次は来年3月の北京冬季五輪。だが米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、リトアニアは、中国で人権侵害が続いているとして抗議し、同五輪に政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を決定した。これに中国政府は「オリンピック憲章にあるスポーツの政治的中立という原則に著しく反するものだ」とし、「断固とした対抗措置をとる」と激しい対決姿勢を見せている。

 

年が明けてもオミクロン株に置き換わった新型コロナウイルスによるパンデミックの勢いは止まらず、さらなる感染拡大が予想されている。北京五輪をめぐっては、米中関係はより緊迫度が増しそうだ。2022年も波乱の年になるのだろうか。