2021-12-30 政治・国際

オミクロン株大流行のフランス政府が偽「衛生パス」400件について調査開始

© AP/TPG Image

注目ポイント

ワクチン接種証明書に関するフランス政府の規制はさらに厳しくなった。全てのレストランで入店時に「衛生パス」の提示が求められるようになった。衛生パスを取得するには、ワクチン接種を推奨回数終えていることと、24時間以内に規定の検査での陰性証明、最近感染していた場合には回復したという証明が必要となる。このパスはレストランだけでなく、多くの場所でもそれが適応され始めている。


 


「中央通訊社」によるとフランスのジェラルド・ダルマナン内務大臣は12日に、政府が偽の衛生パスを提供しているウェブサイトについて、400件の調査を開始したと発表。フランスでは最近、新型コロナウイルスによる入院患者数が急増している。


「AP通信」によると最近、1人の新型コロナウィルス感染者女性がパリの病院で死亡しており、入院時に偽の衛生パスを提示していたことが分かった。このニュースは、フランスのメディアの注目を集め、病院の集中治療室の責任者は、もし入院時に彼女がワクチン未接種ということが分かっていればすぐに抗体治療を始めることが出来た、と述べた。


フランスのダルマナン内務大臣はRTLラジオで「当局はフランス全土で数千もの偽衛生パスが使用されていることを発見した」と話した。また、偽衛生パス400件については、さらに詳しい調査を進めており、そのうち何件かは「医療従事者」が関係していたということを明らかにしたものの、これまでに何人が逮捕されたかなど、事件の詳細については明らかにしていない。


また、「Connexionニュース」の報道では、フランスの女性看護師1名が、現在司法調査を受けており、彼女が1人の男性のために偽衛生パスを提供したことが分かった。2人には最大5年の懲役刑の判決が下った。


この看護師は55歳前後で、ベジエのワクチンセンターで1年間働いており、34歳の男性教師に2回ワクチンを受けたふりをさせ、偽衛生パスを提供したことが発覚。報道によると、この男性は事件後に親族や友人にこのことを話し、しばらくした後、女性看護師が勤務していたワクチンセンターに1本の匿名電話がかかってきて明るみになった。


看護師は医療従事者であることから、最大5年の懲役刑だけではなく、5年以内の医療関連の仕事に従事することが禁止される可能性もある。


男性教師はワクチンを信じておらず接種不希望者だったが、音楽イベントに参加するために衛生パスが必要だった。看護師はこの男性とはワクチンセンター外で知り合ったと主張、に偽衛生パスを発行しただけで、純粋に「彼の助けになりたかった」と供述している。


この事件によりフランス政府の規制はさらに厳しくなり、全てのレストランで入店時に衛生パスの提示が求められるようになっただけでなく、多くの場所でもパス提示が適応され始めている。

フランスでは1日あたりの感染者数の急増に伴い、政府は追加接種用のワクチンの普及を急いでいる。集中治療室の半数は新型コロナウイルス患者で埋まり、一部地域では緊急性のない手術は延期せざるを得ない状況だ。カステック首相はまた、雇用主は従業員に可能な限り在宅勤務を推奨すべきであると述べ、正月が近づいている今、オフィスパーティー等のイベントを減らすよう呼びかけている。

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