2022-04-07 ライフ

【こころの健康について考える】(上) 「繊細さん」ってご存知ですか?

「男性は男らしさが求められ、弱音を吐いてはいけないと思い、何でも自分一人でやり切ろうとする傾向がある」

新型コロナ感染拡大の影響では、仕事や雇用面でよりつらい状況になり、損をしている、あるいは大変になったのは女性のほうではないか、と新行内氏はいう。

東京・中野のあしかりクリニック院長で東京精神神経科診療所協会の会長を務める芦刈伊世子(あしかり・いよこ)氏は「コロナ禍で、専業主婦で閉塞感を覚えて憂鬱になり、(ストレスで)のどが詰まった感じを訴える人が確実に増えた」と語る。

それは生活環境の変化によるものだという。今まで仕事で外にいた夫が家にいるようになり、さらに子どもが休校で、自由な時間がとりにくくなりイライラが募った、と芦刈氏。同氏は「2020年4、5月くらいには赤ん坊への虐待が多かった」と続けた。

東京・上野の浜田クリニック院長の梶原徹(かじわら・とおる)氏は「女性でパートに出ていた人が、コロナの影響で店に客が来なくなったりして失業、パートという立場なので失業保険も受け取れず、追い込まれてしまっている」という。

そういう背景があり、女性の自殺が増加しているのでは、と梶原氏はみている。2021年の男性の自殺者は1万3,939人で12年連続の減少。これに対して、女性の自殺者は7,068人で、2020年に前年比15.4%と急増してから、高止まりの水準となっている。

 

自殺問題は依然深刻だ。だが、より一般的な意味でのコロナ影響は少しずつ収まりつつあるのではないかと芦刈氏はいう。「だんだんと、どうやったら自分の機嫌を良くすることが出来るのかを見つけ出している、あるいは学習しているようだ」。コロナの“正体”について学習が進み、対処の仕方を覚えつつあるのではないか、と芦刈氏。

現在の一番の問題は60代、70代の人たちだと芦刈氏は指摘する。「この2年間(のコロナ拡大の影響)で大きな打撃を受けており、“激うつ”みたいな感じ。若い人たちと違って、解決の手段があまりない」と芦刈氏は心配を募らせている。 (つづく)

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