「繊細さん」という言葉をご存知だろうか?
感受性が強くて傷つきやすい人を指して使われている言葉だという。そして、『「繊細さん」の本』(飛鳥新社)、『「繊細さん」の幸せリスト』(ダイヤモンド社)、『雨でも晴れでも「繊細さん」』(幻冬舎)といった武田友紀(たけだ・ゆき)氏の著作などが売れている。
「繊細さん」と同じく、感受性の強い人のことを指すが、特にその上位20%を指すHSP(Highly Sensitive Person)という用語もある。
「繊細さん」もHSPも病気ではない、と精神科医はいう。
だが、NPO法人・東京メンタルヘルス・スクエアの常務理事でカウンセリングセンター長の新行内勝善(しんぎょううち・かつよし)氏は語る。「最近目立つのは、若い世代でインターネットの影響が強いということ。ネットで調べると何でも出てくるので、いろいろと調べて、自分はうつだとか発達障害だとか思い込み、自分で悩んでしまうことだ」
ツイッター、出会い系アプリといったSNS(ネット交流サービス)の中の人間関係に悩んでいる人も多く、中には犯罪まがいのものも、と新行内氏。
とかくストレスフルな世の中である。
新行内氏は、ストレスの現れ方にもいろいろある、という。溜まったストレスが虐待、DV(家庭内暴力)、いじめ、ハラスメントといった他人への暴力の形で出てくる一方で、「もとは同じストレスだとしても、自分に向き、自分の中に閉じ込めてしまうと、特に若い人だが、リストカットといった自傷行為や薬の過剰摂取につながってしまう」と語る。
新行内氏によれば、薬の過剰摂取を続けると耐性がついてしまい、さらには依存性があるので、止められなくなってしまい、肝臓にダメージを与えてしまう。
厚生労働省によると、20才未満の精神疾患を有する総患者数は2017年に27.6万人で、1999年の11.7万人から急増している。また、内閣府の調査では、若年層(15~34才)のひきこもり人数は推定で69.6万人とされる。
東京メンタルヘルス・スクエアではLINEをはじめとしたSNSなどで相談を受けている。2021年はSNSを通じた相談件数は3万4,899件にのぼり、前年比44%増となった。そのうち10、20代の相談が約6割を占めるという。
東京メンタルヘルス・スクエアのSNS相談は女性が約8割だ。「それには日本の文化が深く影響しているのではないか」と新行内氏はみている。