2021-12-27 経済

韓国大統領選は激烈なスキャンダル合戦 「史上最も好感されない選挙」有権者幻滅

© Reuters / TPG Images

来年3月に迫った韓国の大統領選が、泥仕合の様相を呈している。与党と最大野党の候補による一騎打ちになりそうだが、それぞれの陣営では重大なスキャンダルが相次いで発覚。互いに中傷合戦に明け暮れた結果、両候補の支持率は同時に下落し、「史上最も好感されない選挙」になると有権者はしらけムードだ。

 

文在寅大統領の革新系与党「共に民主党」の候補、李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事には都市開発をめぐる疑惑が浮上し、鍵を握る人物が次々に死亡。一方、保守系最大野党「国民の力」候補である尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長をめぐっては、義母が私文書偽造などの罪で懲役1年の実刑判決を受けた。

 

李候補については長男の違法賭博や買春疑惑が報じられているほか、ソウル郊外の城南市長時代の都市開発に絡んだ不正疑惑も浮上。当時の事情を知っているとされる関係者2人が相次いで死亡。自殺とみられる。また、同候補は過去に公務員資格詐称、飲酒運転、特殊公務執行妨害、公職選挙法違反の前科4件があることも判明した。

 

韓国紙・中央日報によると、李候補の陣営は前科記録について、「すべて公益のために奔走した内容」として擁護。飲酒運転についても、「飲酒運転はもちろん過ちだが、飲酒運転をしたのも情報提供者の話を聞くため急いで行こうとしたのが理由」と苦しい釈明をしている。

 

都市開発不正疑惑については、対立候補の尹陣営が「疑惑の中心人物を守るために、どれだけ多くの人が死ななければならないのか」と非難し、李候補を追及していく姿勢を示した。

 

その尹候補をめぐっては23日、義母が土地購入にあたり、銀行の残高証明書を偽造したなどとして懲役1年の実刑判決を受けたと韓国・聯合ニュースは伝えた。それによると、義母は2013年4~10月にかけ、京畿道城南市内の土地を購入する過程で、知人と共謀して銀行に347億ウォン(約33億3800万円)の預金があるかのように残高証明書を偽造して使用。また、土地を購入する際に知人の婿などの名義で契約、登記した罪にも問われた。

 

聯合ニュースによると、義母はほかにも許可なしで療養型病院を開設し、国民健康保険公団から給付金を詐取したとして、医療法違反の罪や詐欺罪にも問われ、7月の一審で懲役3年の実刑が言い渡された。その後、9月に保釈され、控訴審判決を控えている。

 

また、尹候補の妻・金建希氏は26日に記者会見し、過去の求職活動の際に経歴を詐称した疑いが指摘されていた問題について、「よく見せようと経歴を膨らませて誤りを書いたことがあった」と認め、謝罪した。金氏は2007年、大学の客員教授に応募した際、志望書に虚偽の経歴を書いたり、受賞歴を誇張したりした疑いなどが持たれていた。

 

相次いで明らかになった醜聞に有権者もしらけムード。中央日報によると、韓国社会世論研究所が20日に発表した結果では、前週に比べて李候補は0.3ポイント下落の40.3%、尹候補は4.6ポイント下落の37.4%だった。さらに、新たなスキャンダルが連日のように報じられる中、両候補の支持率はさらに下落しそうだ。

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