ロシアのプーチン大統領による独裁体制はあと数か月で崩壊するとの見解を、かつてプーチン政権を支えた元副大臣が米CNNに断言した。
ウクライナ侵攻を開始した2月24日を「プーチンの終わりの始まりだ」と確信するのは、エネルギー副大臣を務めたウラジミール・ミロフ氏(49)。現在は反体制派の旗手で、民主化を求める野党「未来のロシア」の党首アレクセイ・ナワリヌイ氏の顧問として活動している。そのナワリヌイ氏は先月、事実上の政治犯として禁錮9年の判決を受けた。
ミロフ氏は2日、CNNのニュース番組「エリン・バーネット・アウトフロント」にリモート出演し、ロシア政府のエリート官僚らはプーチン氏のウクライナ侵攻に「打ちひしがれている」と指摘。「ロシアはこれまで時代に逆行したことはなかった。70年代、80年代、90年代、それぞれの時代ごとに多くの困難に直面してきたが、世界に対してある程度オープンだったし、方向性は違うものだった」と振り返った。
だが、「ロシアは今、世界市場や金融システム、技術分野や物流など多面的に遮断された」と説明。プーチン政権下、トップ官僚として6年間従事したミロフ氏は、今も現役の同僚たちをよく知っているとした上で、「ロシアがこのように世界から遮断されたことはかつてなかった。彼らは今、本当に打ちひしがれている」と述べた。
続けて、「プーチン体制は世界からの包括的な孤立には耐えられない」とし、〝インナーサークル(側近)〟は、この状況に全く対応できないと言い放った。
ミロフ氏によると、プーチン氏はまだ強力に権力を掌握しているが、このような状況から、もう長く続かないと分析。あと数か月で崩壊に向かうという。そのきっかけとなるのは、「この先、政権内部でプーチンの行動に疑問を持つ人間はますます多くなり、一般のロシア人も経済崩壊や戦争での巨大損失に不満を表すだろう。それはプーチンがいまだかつて経験したことのない状況になる」と述べた。
ミロフ氏は米ジョンズ・ホプキンス大学出版の政府専門誌「ジャーナル・オブ・デモクラシー」の3月18日号に「プーチンが余命いくばくもない理由」と題した論説を寄稿。その中で、「西側の見方とは裏腹に、実際はかなりのロシア人が戦争に反対している」と説明。そのため、「大多数がウクライナ侵攻を支持している」とするロシアの〝世論調査〟を西側のジャーナリズムが引用するのは大きな間違いだと指摘した。