2021-12-24 経済

「アップルカー 」の主要エンジニアが辞任! 2025年の自動運転電気自動車公開に暗雲漂う

注目ポイント

12月1日、アップルカー(Apple Car)のシニアエンジニアリングディレクターのマイケル・シュワクッチ氏(Michael Schwekutsch)が辞任した。シュワクッチ氏は、電動スカイタクシーのベンチャー企業アーチャー(Archer)に加入し、エンジニアリングの上級副社長に就任した。これはアップルが大きな戦力を失い、2025年までに全自動運転の電気自動車を完成させるという目標達成が、難しくなったことを意味する。

 

ただ、これら技術上の問題を克服するのは簡単ではなく、アップルは過去7年間、自動車分野の開発において幾度となく苦境に立たされてきた。管理職の交代、部門従業員の離職、度重なる開発延長などだ。2018年にテスラからアップルに移籍してきた上級管理職のダグ・フィールド氏(Doug Field)は、当時のアップルの電気自動車プロジェクトに大きな影響をもたらしたが、最終的には失敗に終わり、その後、最低でも4名の上級管理職が辞任していった。

 

人的変動は非常にまれだったアップル社が…

 

アップルの電気自動車プロジェクトチームはいま、テクノロジー担当副社長でアップルウォッチの責任者だったケビン・リンチ氏(Kevin Lynch)によって率いられている。リンチ氏は、この7年間の「Titanプロジェクト」における5人目の上級管理職であり、このような人的変動はこれまでのアップルにおいては、非常にまれなことだった。たとえば、電気自動車プロジェクトとほぼ同時期に始まったバーチャルリアリティ(VR)チームの責任者は、長年にわたって変更されていない。

 

今回アーチャーに移籍したシュワクッチ氏は、元テスラのエンジニアリング担当副社長でもあり、車両設計に関連する100以上の特許を所持、テスラプラッドのプロトタイプ設計に加わったほかに、テスラ、ポルシェ、BMWなど多くのモデルの電動駆動システム開発に携わっている。

 

アーチャーの創業者兼CEOのブレット・アドコック氏(Brett Adcock)は、次のように述べている。「シュワクッチ氏の加入は、当社にとって非常に重要な意味を持つ。計画通り、2024年には商業的量産ベースのパワートレイン開発を実現させ、将来的にはシュワクッチ氏が同社のバッテリーと電気モーターの開発をリードしていくことになるだろう」。

 

シュワクッチ氏は、米ニュース専用チャンネル「CNBC」に対して、メールで次のように伝えている。「現在、自動車産業は確かに成長を遂げているが、地球温暖化問題を解決する上では、自動車だけでなく、航空モビリティにも大きな成長のチャンスが眠っている」

 

アップルの電気自動車プロジェクトの現責任者、リンチ氏は、自動車と自動運転システムに関する経験はなく、ソフトウェア分野出身の上級管理職である。電気自動車プロジェクトの責任者に選ばれた際には、彼はまだアップルウォッチのオペレーションシステムを担当していた。

 

主要エンジニアはいなくなってしまったが、アップル内部の社員は依然として自信を持っている。ブルームバーグは、リンチ氏は自動車分野の出身ではないが「彼がアップルウォッチを主要製品にまで成長させた成功を考慮し、アップル内部の大勢のエンジニアが彼の指揮する電気自動車プロジェクトの成功を期待している」と報道している。


原文責任編集者:翁世航
翻訳者:鴨奥海斗
校閱者:TNL JP編集部

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