土と焼き物の魅力を伝える文化施設「INAXライブミュージアム」(愛知県常滑市)を運営するLIXIL(東京)は、タイル名称統一100周年を記念する巡回企画展「日本のタイル100年――美と用のあゆみ」を開催する。建築史家・建築家の藤森照信監修の下、多治見市モザイクタイルミュージアム、江戸東京たてもの園による3館共同のプロジェクトだ。
陶磁器製の建築材の呼称が「タイル」に統一されたのは、1922(大正11)年4月12日。東京・上野での「平和記念東京博覧会」に際して開かれた「全国タイル業者大会」においてのこと。当時は、「敷瓦(しきがわら)」「腰瓦(こしがわら)」「張付煉瓦(はりつけれんが)」「化粧煉瓦(けしょうれんが)」「タイル」など25以上もの名称が混在しており、その不便を解消するためだった。博覧会の会場にはタイルのさまざまな使い方を提案する特設館が展示され、タイル張りの住空間を大々的にアピールするなど、1922年は日本のタイル史に刻むべき特別な年となった。
それから100年を記念して開催される本展では、瓦の伝来に始まる日本のタイル文化を振り返りながら、名称統一を起点とし、近代的な都市や公共空間、身近な生活空間などあらゆる場面で使われてきた日本のタイル100年の歩みが紹介される。建築を守ると共に心豊かに彩ることができるタイル。ふと見渡せば身の回りの至る所にあるタイルの魅力と可能性を再発見できる好機だ。会期は、4月9日(土)~ 8月30日(火)。