2021-11-30 経済

日本半導体産業復興の希望!TSMCとソニーの協業工場建設

注目ポイント

日本の経済産業省は、日本国内の半導体産業の強化のため「半導体産業基盤緊急強化パッケージ」を発表した。日本政府は、TSMC(台湾積体電路製造)および及びソニーに、約4,000億円を補助するとし、初期投資額の8,000億円の半分に達する見込み。今後は、3ステップで計画を実行する予定だ。

 

注目すべきなのは、この建設計画は日本政府からの支援を受けていること。日本政府は4,000億円(総投資額の約半分を占める)の補助金を出し、TSMCとソニーの工場建設を援助する方針である。完工後、主に自動車システムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)に使用される半導体チップを生産する予定で、状況によって日本のメーカーに優先的に供給される見込みである。

 

TSMCの最高経営責任者(CEO)魏哲家氏は「業界最大手で、TSMCの長年の顧客であるソニーの支持を得られることはとてもうれしく思う。日本の新しい工場を通じて、市場の需要に応えていく」と強調した。TSMCは、2022年から建設を始め、2024年末には生産を始めることを目指している。工場開設により、約1,500人の先端技術に精通した人材の雇用を創出し、月間生産能力は4万5,000枚(300mmウェハ)を目標とする。また、ソニーは20%未満での株式を取得する予定。

 

半導体産業をめぐる国家戦略、日本にとっての重要性

TSMCは世界中に顧客を持ち、有名なアップル社のほか、ファーウェイ(HUAWEI)、クアルコム(Qualcomm)、AMD、信越化学工業、および今回の提携先のソニーなどがある。

 

「Nikkei Asian Review」の報道では、今回TSMCが日本に進出する目的の一つは、ソニーを含む日本の重要な顧客にサービスを提供することとしている。

 

実は、日本国内では2019年からTSMCと提携するといううわさが流れていた。IEEEが出版する「IEEE Spectrum」の報道によると、16年間大手電気メーカーの東芝に勤務し、先端システム技術研究組合(RaaS)理事長を務める黒田忠広氏は「TSMCは、日本が欲しがる7ナノメートルのプロセス技術を持っている。一方、日本の研究開発においては、物理、化学および原材料などの基礎研究はトップレベルに達している。ムーアの法則(半導体性能の原則)に則った新型装置の開発に向け、相互の知識を融合させ、連携体制を構築することが可能となる」と語った。

 

黒田氏はさらに、「TSMCの半導体技術により、日本が新たな顧客を開拓することができる。日立、パナソニックおよび凸版印刷など、多くの日本企業にとってより大きなメリットが期待できる」と明言した。

 

近年、日本は欧米諸国が半導体に多額の投資を行っていることにプレッシャーを感じていた。黒田氏は「昨年12月に、欧州連合(EU)22か国が共同で、『設備、技術、設計および先端製造などのバリューチェーン投資』を含めた『欧州の半導体能力』の強化を発表している。また、米国商務長官のジーナ・レイモンド(Gina Raimondo)氏は、半導体の研究及び生産に対して520億ドルを追加投資すると提言し、米国国内でさらに10か所のファウンドリ(工場)を設立する見込だとしている。こういうニュースを見て、日本は成長しないといけない」と提言した。

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