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日本の経済産業省は、日本国内の半導体産業の強化のため「半導体産業基盤緊急強化パッケージ」を発表した。日本政府は、TSMC(台湾積体電路製造)および及びソニーに、約4,000億円を補助するとし、初期投資額の8,000億円の半分に達する見込み。今後は、3ステップで計画を実行する予定だ。
2021年、世界のテクノロジー産業は大きな影響を受けた。コロナ禍の下で、ここ10数年で形成してきた国際分業体制にも大きな影響を及ぼしている。代替エネルギー、リモート技術などの急速な発展もその一因となっている。それにより、今後ますます半導体需要の高まりが見込まれ、それにともない半導体不足が常態化し、世界各国が半導体工場を建設せざるを得ない状況になっている。かつて半導体大国と呼ばれた日本もその一員である。
日本政府から4,000億円の補助受け、熊本に半導体ファウンドリ工場
台湾の「護国神山(=国を守る神の山の意味)」ともいわれるTSMCは、ウェハ製造の世界的リーダーである。市場調査分析会社であるTrendForceの調査によると、今年第2四半期の時点で、TSMCは52.9%の市場シェアを持つ。つまり、世界の半分以上のハイテク製品、例えば自動車、スマホ、パソコン、ゲーム機など、あらゆる情報通信製品は、TSMCが生産した半導体チップを使用していることになる。
近年、新型コロナの感染拡大にともない、世界各国で外出制限などが発令される中で、高度に専門化されたグローバルサプライチェーンの多くが、原材料供給の遅延に直面し、さらには供給停止になることすらあった。中でも半導体チップの供給不足は特に深刻化しており、電気や家電製品産業、さらには自動車産業にも大きな影響を与えた。
「半導体不足」の拡大は、国家安全保障上の問題にも関連する。「Nikkei Asia」の報道によると、トヨタ自動車の9月の生産台数が40%の大幅減となったことに、日本政府側も大きな関心を寄せており、今後、自動車の安定的な供給を図るため、また5G無線技術の発展を加速させるために、半導体産業への支援を優先する方向に舵を切ったとしている。そんななか、TSMCが最初に資金援助を受けるメーカーとなった。

経済安全保障担当大臣の小林鷹之氏はインタビューで「TSMCの日本進出は、半導体産業復興の最初の一歩に過ぎない。今後は中国や米国に匹敵する長期的な支援措置を講じていくべきだ。そうでなければ、日本の半導体産業の復興に希望はない」と強調した。
現在、日本の産業界で最も重要なのは、「サプライチェーン寸断」の渦に巻き込まれないようにすることである。「日本経済新聞中国版」は、日本のソニーは自給自足できるようにTSMCと提携して、回路線幅が22〜28ナノメートルの「汎用ロジックIC」とも呼ばれる半導体の工場を熊本県菊池郡菊陽町に設立し、その設備投資額が約8,000億円(約69.6億米ドル)になる見込みと報じている。